お腹から産まれた赤ちゃんはママのおっぱい=母乳を飲んですくすく成長します。
ところが母乳の量や出方には個人差もあり、ミルクの方が効率的では?と思うことも少なくありませんよね。
それでも母乳育児が大切なのは赤ちゃんにとても大きなメリットがあるからです。今回は母乳育児が赤ちゃんの健康や免疫に与える影響について詳しくご紹介します。
母乳には赤ちゃんにとって理想的な栄養がたっぷり
産まれたばかりの赤ちゃんの体が健康的に作られるためには多くの栄養が必要です。
- タンパク質
- ビタミン
- 脂肪
といった赤ちゃんの体の成長に必要不可欠な栄養が母乳にはたっぷり含まれています。
さらに母乳は消化・吸収にも優れているため、未発達の赤ちゃんの消化器官に過度な負担をかけずに栄養を吸収させることができます。
また、赤ちゃんの成長段階に合わせて含まれる栄養分が変化していくのも母乳のメリット。
最初はタンパク質やミネラルなどがメインの栄養素ですが、その後はゆるやかに減少し乳糖の量が増えるなど少しずつ変化します。
ママの血液から作られる母乳は、赤ちゃんの成長に必要なカロリーもしっかりと維持されています。
母乳の免疫物質は病気や菌から赤ちゃんを守ってくれる
出産後わずか数日間だけ出る「初乳」には免疫物質が凝縮されて入っています。
母乳に含まれる免疫物質には
- IgA
- ラクトフェリン
といった感染をブロックする機能を持つタンパク質が含まれています。
こうした免疫物質が母乳を通して赤ちゃんの体に入ると、
- 腸の壁をおおうように病原菌をブロック
- 赤ちゃんの体自体の免疫機能をアップさせる
といった働きをしてくれます。
母乳の持つ免疫物質は、細菌・ウィルスなどによる病気を防いでくれるのです。
母乳が赤ちゃんに与える4つのメリット
母乳育児は基本の栄養や免疫力をつけるといったこと以外にも赤ちゃんへのメリットがたくさんあります。
- 母乳のみで育った赤ちゃんは乳幼児突然死症候群のリスクが低下(ミルク育児の赤ちゃん比較)
- 将来肥満になるリスク低下
- おっぱいを吸う口・アゴのの動きによる脳の発達
- 授乳時のスキンシップで赤ちゃんが感じる安心感
さらに母乳の味はお母さんの食べたものよって風味が変わるので、赤ちゃんにいろんな味を体験させることもできます。
一方、過激なダイエットや日焼け止めを多用するなどが原因で、母乳に含まれるビタミンDが少なくなることには要注意です。
母乳育児がママの体に与える4つのメリット
母乳育児をすることは赤ちゃんばかりでなく、ママの体にとっても多くのメリットがあります。
- おっぱいを吸われることによる子宮収縮改善
- 授乳のカロリー消費で産後の体調・体重の戻りが早い
- 閉経前に「乳がん・卵巣がん・子宮体がん」になるリスクの低下
- 骨粗鬆症になるリスク低下
このほか、授乳によって分泌されるホルモンがママの精神をおだやかにさせてくれる効果も。
もちろん母乳なら場所を選ばずどこでも赤ちゃんが欲しがった時に飲ませられますし、お金がかからず経済的といったメリットもあります。
母乳が出ない・出づらいときには積極的にミルクを利用する
しっかり母乳を作るためには
- 栄養バランスの取れた食事
- 冷えに注意して血流を良くする
- 締め付けの強い下着は避ける
といったことが大切ですが、ママの体の状態によって母乳が出なかったり出づらかったりすることもあります。
赤ちゃんにじゅうぶんな栄養を与えるためにも、そんな時は積極的にミルクを飲ませてあげましょう。
なんとなくのイメージで“ミルクは母乳よりも栄養分が劣る”という風にとらえがちですが、そんなことはありません。
現在の赤ちゃん用ミルクはできうる限り母乳に近い成分になるよう研究が重ねられていて、母乳に負けないくらいの栄養が入っています。
作り方や飲ませる分量、衛生面に注意を払えば、母乳と同じレベルで赤ちゃんの成長を助けてくれるのがミルクなのです。
ミルクならパパやおじいちゃん、おばあちゃんなど、ママ以外の家族でも授乳できるメリットもあります。
「母乳育児が赤ちゃんに必要な理由」まとめ
赤ちゃんがすくすく元気に育っていくために欠かせない母乳。
- 栄養面
- 免疫力
- ママの健康
あらゆる面で大きなメリットを持っています。
母乳育児をすることには大変な面もありますが、いづれは卒乳しておっぱいをあげることもなくなります。
“期間限定のスキンシップ”と考えて、無理なく母乳が出るうちはぜひ母乳育児に取り組みたいものです。
ママと赤ちゃんの健康のためにも積極的に母乳を飲ませてあげましょう。
参考文献:主婦の友社「はじめてママ&パパの育児」